凸版印刷 風神雷神図など文化財特有の質感を『VR』でより忠実に再現

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風神雷神図のウラ -夏秋草図に秘めた想い-

凸版印刷株式会社は、光沢や表面の凹凸、色調など、照明環境や観察方向によって見え方が異なる素材の質感を精確に記録するデジタルアーカイブ技術を開発し、これまで困難とされてきた文化財特有の質感をVR上でより忠実に再現することが可能となったと発表したのでご紹介します。

今回発表された技術は、2018年1月4日(木)から東京国立博物館東洋館内にあるVR作品の上演施設「TNM & TOPPANミュージアムシアター」にて公開するVR作品『風神雷神図のウラ -夏秋草図に秘めた想い-』の製作に活用されており、同館の所蔵品の中でも名品と名高い2作品、重要文化財「風神雷神図屛風」および「夏秋草図屛風」の再現に挑戦しているとされている。

開発された技術と活用したVR表現のポイント

光反射特性を「光沢」、「色」、「微細凹凸」といった質感の要素に分解

人が視覚によって対象の質感を知る手がかりとなる陰影や光沢は、照明環境や観察の位置によって変化するようで、文化財の質感記録撮影時には、照明装置を移動させながら対象となる文化財に照明をあて、その反射光を高解像度カメラで連続的に撮影することにより、あらゆる方向からの入射光に対する反射光の変化を余さず取得するとされています。

撮影画像から文化財表面の光反射特性を「光沢」、「色」、「微細凹凸」といった質感の要素に分解することで、照明環境や観察方向に依存しない文化財そのものの質感データとして精確にデジタルアーカイブでき、質感データを活用することで、同一の材質であっても微細な質感の違いを正しく再現することが可能となったと発表されています。

VR質感

質感記録撮影の風景(左)と、質感要素データ(右)

これまで困難とされてきた文化財の質感をVRで忠実に再現

今回、独自の分割撮影手法により重要文化財「風神雷神図屛風」、「夏秋草図屛風」の高精細撮影を実施し、独自合成技術を用いて、分割撮影した画像を生成。各作品30億画素の高精細画像で作品を実寸大で精確に再現されている。

また、高精細画像に質感要素データを取り込むことで、VR上で設定した照明の位置・強さや視点位置に応じて、文化財の質感を物理特性に基づいて忠実に再現されており、この技術の活用により、VR作品『風神雷神図のウラ -夏秋草図に秘めた想い-』では、ロウソクの光で照らした場合や、月明かりに照らされた場合の見え方など、実際の文化財では不可能な条件下での鑑賞を、より精確にシミュレーションできたとされている。

詳細データ

(左)高精細分割撮影、(右)取得したデータ

詳細データ

(左)撮影画像、(右)VRによる再現画像

『風神雷神図のウラ -夏秋草図に秘めた想い-』

⚫展示会場
東京国立博物館東洋館地下1階
TNM & TOPPAN ミュージアムシアター

⚫開催期間
2018年1月4日(木)~4月22日(日)

⚫展示時間
水・木・金 12:00、13:00、14:00、15:00、16:00
土・日・祝・休日 11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00
※所要時間は約35分、各回定員90名です。

⚫入場料金
高校生以上 500円、中学生・小学生300円、
未就学児 無料
障がい者およびその介護者各1名 無料
※大学生以上は博物館入館チケットが別途必要
※総合文化展当日券(一般620円/大学生410円)とセット購入で一般1000円/大学生800円
※開演時間までにチケットをお買い求めください(当日券のみ)。

凸版印刷ニュースリリース

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